【飲食業・サービス業】平成28年度 地域経済動向調査


第1章 地域経済動向の調査概要(飲食業・サービス業)

(1)調査目的

 小規模事業者から無作為に抽出した事業者から、アンケート調査等で得られた個々の企業の売上動向、仕入動向、資金繰り動向・採算動向等の調査結果と、4半期に1回実施する景況調査、日本政策金融公庫の各種実態調査、その他統計資料情報等から得られる地域の経済動向資料を調査・分析し、個々の企業の経営状況に応じた情報提供体制を整備する。

 

(2)調査期間・方法

  • 調査期間:平成28年11月15日~平成28年12月15日
  • 調査内容:巻末のアンケート調査票を参照願います。
  • 調査方法:商工会会員の小規模事業者に調査票を配布、記入後商工会が、郵送・FAXにて回収した。
  • 集計・分析期間:平成28年12月25日~1月31日

        小売業回収結果:配布枚数 39枚

                回収枚数 27枚

                回収率  69.2%

 

 

(3)集計やグラフについて

  • SA(選択肢から1項目のみ選択)、MA(複数選択)、数量(数字記入)を表す。
  • 単純集計は、不明(無回答)を含め100%として集計した。(「不明」は、選択もしくは記入がなかった回答の件数。)
  • MAは回答のあった合計件数を表記、構成比は回答者数に対する比率を表記したため100%を超えている。
  • 集計表を目視で理解しやすいよう、ウェイトが高いカテゴリーを網掛けし強調した。
  • 円グラフのデータラベルの%標記は、スペースの関係で整数表記とした。

 

【注意点】

  • 調査・集計結果の本文では、主要な数値やグラフを用いて表現し、一部は割愛した。
  • 詳細なデータは、「第4章 参考資料」にある調査票や集計表を参照のこと。

 

第2章 飲食業・サービス業調査・集計結果

1.調査企業の概要

(1)営業年数(数量)

 営業年数を10年単位でみると、「9年以下」と「40年代」が各6件(22.2%)で最も多い。
50年以上が4件あるものの、「10年代」も3件と若い企業が多く、他業種比べ比較的開業しやすい飲食業・サービス業の特性が現れている。

 

(2)代表者の年齢(数量)
 代表者の年齢を10年単位でみると、「70歳以上」が10件(37%)で最も多く、2番目が「60歳代」で、60歳以上が70.3%となり、代表者の高齢化が進んでいる。
 その一方で「40歳以下」は4件(14.8%)と、若手の代表者が少ない。

 

(3)役員・従業員数

 役員・事業主数は「1人」が22件、「2~5人」が5件。正社員数は「0人」が18件と大半で、「1人」と「2~5人」を合わせて8件となっている。また、パートは「0人」が13件、「1人」が7件、「2~5人」が5件となっている。

 

 これらを合計人数でみると、5人以下が23件(85.1%)と、飲食業・サービス業の特性でもある小規模事業者が大多数である。一方で10人以上の企業も2件ある。 

 

(4)売上高(SA)

 売上高は「1千万円以下」が各14件(51.9%)で、「3千万以下」を合わせると81.5%で大半を占め、小規模事業者が多い飲食業・サービス業の特性が現れている。

2.質問に対する回答集計・分析結果

Q1 事業所の属する業種

 業種の主な作業種別をみると、「自動車整備業」が6件(22.2%)で最も多く、次いで「飲食業」が5件(18.5%)、「宿泊業」「洗濯・理美容・浴場」、「専門サービス業」、「技術サービス業」が各3件(11.1%)、「娯楽業」が2件(7.4%)の順となっている。

 

Q2 後継者の有無について

  後継者に関する質問で、「後継者がいる(親族)」は9件(33.3%)で最も多く、現経営者の年齢にもよるが、「後継者なし」は18件(66.7%)となっている。

 


 

 「後継者あり」の事業承継予定時期は「特に決めていない」が6件(22.2%)と最も多く、「3年以内」、「5年以内」が各1件(3.7%)となっている。 

 

 事業継承を決めるうえでの課題は、「特にない」が5件、「わからない」が2件と、あまり理解が進んでいない。「相続税等」との回答が1件あった。 

 

 また、「後継者なし」の承継の見通しについては、「事業承継者を探す」及び「事業売却(M&A等)を検討」が各1件ある。その一方で、「事業廃業」が8件あり、「特に決めていない」は9件となっている。 

 

Q3今期の業績見通し(SA)

(1)売上金額
 前期と比較した売上金額が「増加」は3件(11.1%)で、「減少」の13件(48.1%)の1/4以下に留まった。

 


(2)売上の増減状況
 前期と比較した売上(加工)金額の増減割合を聞いたところ、「約1割増加」「約2割増加」「約3割増加」が各1件であった。逆に「減少」の方が多く、「約1割減少」が6件、「約3割減少」「2倍以上減少」が各2件、「約2割減少」と回答した企業が1件あった。

 

(3)売上単価等の状況
 業績を左右する単価や数量等7項目を、「増加」、「不変」、「減少」から択一で質問した。どの業況項目も「不変」が半数程度あるがこれを除き、「増加」と「減少」をグラフにした。
売上単価及び売上数量とも「減少」が「増加」を大きく上回っている。一方で、仕入単価は「増加」が「減少」を上回り、採算・業況が悪化している。「採算」、「業況」、「資金繰り」、「来期業況」とも「減少」が「増加」を大きく上回り、経営環境の厳しさを表している。

Q4 昨年の設備投資動向(SA)
 設備投資を「実施」した企業は7件(25.9%)で、「実施していない」企業を下回った


 また、実施した設備投資内容は、「付帯設備」が3件と最も多く、次が「車両運搬具」2件「土地」「工場建物」「生産設備」各1件となっている。

 

Q5 経営上の気になる点(MA)
 「売上の減少」が11件(40.7%)で最も多く、次は「経費増加」が7件(25.9%)で、収益に関する項目が2/3を占めている。また、「資金繰り」、「税金」が各5件の他、「赤字体質」、「後継者問題」、「地域活性」等の項目が4~3件あった。その他には「老齢による」の記載があった。

 

Q6 商工会に望む支援(MA)
 「補助金支援」が7件で最も多く、次いで「金融支援」と「新事業展開支援」が各3件で続いている。「赤字体質改善」「税金相談」などがみられた

 

Q7 直面している経営上の問題点
 直面している経営上の問題点は、「景気や需要の低迷」が9件と最も多く、「顧客ニーズの変化への対応」8件、「顧客単価の低下・上昇難」7件、「設備の不足・老朽化」5件と続いている。
 その他には「介護報酬の減少」の記載があった。

 

Q8 今後の経営方針
 「現状を維持しながら効率化を図る」が14件で最も多く、「既存顧客のリピート率や数量を増加させる」8件と続いている。3番目には「将来的には廃業も考えている」が7件あり、「経費を徹底的に見直し削減努力をする」「経営を縮小し採算合わせていく」が各々3件と経営の厳しさを感じさせる回答も目立った。その他には「設備投資」の記載があった。

 

Q9 今後の経営方針達成に必要な取組等
 前問に関連し、経営方針の達成に必要な取組を選択してもらった。
 「現状を把握し、将来への展望や効率化を分析するための自社経営分析」が7件で最も多い。
次いで、「スキルを向上するための勉強会やセミナーへの参加」と、「将来を見据えた(縮小や廃業のための)経営計画書策定」が各4件で、「資金繰り計画や新たな金融支援」が3件、「販路開拓につなげるための補助金活用計画書の策定」が2件、「将来を見据えた(業績UPのための)経営計画書策定」、「従業員の確保と人材育成強化」が、各1件となっている。

 

Q10 商工会への意見や要望
1件の記載があった。
  • 私は30代で女性の代表です。社長として母として妻としての責任を担いながら仕事をこなしていくことに少々疲れを感じています。スタッフの人間関係のことで悩むことも多々あります。経営の資金繰りも不安です。そんなとき若手経営者、女性社長etc・・・の意見交換、兼親睦会のようなものがあればいいなと思います。そこに参加して「あー悩んでいるのは私だけではないんだ」とか、「みんな苦労しながらがんばっているんだ」など共感できると、気持も少し前向きになって、やる気も出ると思うんです。商工会のみなさんに是非お願いしたいです。

第3章 調査結果のまとめ

 今回実施した地域の経済動向調査の結果判明した、徳地地域における飲食業・サービス業の概要及び経営状況、経営課題と方向性は、以下のとおりである。

調査企業の概要
  • 9年以下の若い企業が多く、比較的開業しやすい飲食業・サービス業の特性が現れている。
  • 代表者の年齢は、「70歳以上」が10件で最も多く、「60歳代以上」を合わせると70.3%となり高齢化が進んでいる。
  • 従業員5人以下、売上が3千万円以下の小規模事業者が80%以上で、小規模事業者が多い飲食業・サービス業の特性が現れている。
主たる業種等
  • 「自動車整備事業」が6件、「飲食業」5件、「宿泊業」・「洗濯・理美容・浴場」・「専門サービス業」・「技術サービス業」等が3件。
後継者問題
  • 後継者「いる」9件に対し、「なし」が18件(66%)と倍。
  • 後継者「なし」の対応は、「事業廃業」が8件で最も多い。
今期の業績見通し
  • 前期より売上増加企業は3件で、減少企業13件の1/4以下。
  • 売上増減状況をみると、減少は「約1割」が6件、「約3割」と「2倍以上」が各2件あったのに対して、増加は「約1割」と「約2割」、「約3割」が各1件ずつと少ない。
  • 売上単価及び売上数量とも「減少」が「増加」を大きく上り、仕入単価は「増加」が「減少」を上回り、採算・業況が悪化している。
  • 「採算」、「業況」、「資金繰り」、「来期業況」とも「減少」が「増加」を大きく上回り、経営環境の厳しさを表している。
設備投資状況
  • 設備投資実施企業は7件で、実施していない企業の17件の半分以下。
  • 設備投資内容は「付帯設備」3件、「車両運搬具」2件、「土地」、「工場建物」、「生産設備」が各1件。
経営上気になる点
  • 「売上の減少」11件、「経費増加」7件、「資金繰り」、「税金」各5件、「赤字体質」4件と、収益・財務上の気になることが多い。
商工会に望む支援
  • 「補助金支援」が7件と最も多く、「金融支援」や「新事業展開支援」が各3件で続いている。
経営上の問題
  • 「景気や需要の低迷」9件、「顧客ニーズの変化への対応」8件、「顧客単価の低下・上昇難」7件と、営業面での問題が上位となっている。
今後の経営方針
  • 「現状を維持しながら効率化を図る」が14件で過半数となっている。
  • 一方で「将来的には廃業も考えている」が7件となっている。

今後の経営方針達成に

必要な取組等

  • 「将来への展望や効率化を分析するための自社経営分析」7件、「勉強会やセミナーへの参加」4件、「将来を見据えた経営計画書」4件と学習・分析・計画書と、スキルアップや計画立案に関しての取組が上位となった。

第4章 参考資料

(1)アンケート調査票

ダウンロード
【飲食・サービス業】アンケート調査票.pdf
PDFファイル 330.9 KB

(2)単純集計表

ダウンロード
印刷用PDF
平成28年度 飲食・サービス業_徳地商工会経営発達支援計画調査報告書.pdf
PDFファイル 1.1 MB